"Make yourself at home"「(自分の家みたいに)遠慮なく寛いでね」
と言われた通り、伸び伸びさせてもらうことにした。
ゲストルームで荷物をほどき、ベッドサイドを見ると、"Wallpaper"という雑誌が置いてあった。初めて目にする雑誌だったが、ロビンの専攻であるインテリアの雑誌だと察しはついた。
夕ご飯まで時間もあるし、と寝そべってパラパラと捲り始めると、あるページで手が止まった。それは、シンプルな作りの花瓶やコップなどの写真と、それを作ったと思われる学生たちと先生が、教室のような所でカジュアルに立ち話をしている写真が載っているページだった。なぜか無性にその見開き2ページの世界観に惹かれた私は、夕食時にロビンに「ねえ、この人たちは何をしているの?こういうデザインはなんていうジャンルのものなの?」と興奮気味に尋ねた。
"It's called product or industrial design, and they are students."「これはプロダクトデザインとかインダストリアルデザインと呼ばれるもので、彼らは学生だよ」とのことだった。
この頃、ロビンからいわゆる「活きた英語」を沢山教わった。
その中でも、始めは聞き取れずにいたのに、帰国時には連発するまでになったのが、
"Awesome!"(アーサム)という言葉だ。意味は、"Cool"(クール)と同じようなもので、もっと今ドキ風の言葉とのことだった。
私は早速覚えたての"Awesome"を使って、そのプロダクトデザインとやらに無性に興味があること、マンハッタンに帰り次第、図書館で(ネットがなかったので)学べる学校を探そうと思うことなどをロビンに伝えた。ノリの良い彼女は、やったねエミコ、やりたい事みつけたね!協力するよ、と言って、ハグをして自分の部屋へ戻っていった。
私は胸が高鳴って眠る気になれなかったので、そのまま居間に残り、テレビを点けた。
MTVで、プリンス特集を流しているところだった。
パープル・レインのPVを見ながら、この人すごいなー、と思った。楽器はなんでも弾けて、声自体もエレキギターみたいで、毛深そうな上に身長も小さいのに、コンプレックスにもせず、むしろ自信満々で。見ていたら、なんだかムクムクと勇気と希望が湧いてきた。
(別に私の身長のせいではナイ)
翌朝は、夜更かしにも関わらず、スッキリと目覚めた。
〜後編へ続く〜
※書いているうちに色々と思い出してしまったので、
前・中・後の長編になってしまいました...。
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