誰でも、数十年生きていれば、「擦り切れるくらい聞いたアルバム」というものがあると思う。私の場合、レコードではなくCDだから、実際には擦り切れはしないのだが、擦り傷程度は沢山ついている。
今までに買ったCDは、ほとんどパソコンに音楽データを取り込んでいるのだが、本当に良く聞くものだけはCDアルバム自体をプレーヤーの 上に置いてある。
その中でも、小学校の頃から今まで、どんなに不調な時に聴いても「調子が整う」魔法のアルバムがある。母が1980年代後半に買ってきた、ポール・サイモンの「グレイスランド」というアルバムだ。1986年にポールが南アフリカのミュージシャン達と創り上げたこのアルバムは、色鮮やかで、アフリカの大地と都会のビル群をなぜか同時に思い浮かべさせられる、最高のアルバムだ。
一番始めに「マイ・ベスト・アルバム効果」を感じたのは、確か小学校5年生くらいの時だった。どこかへ遠足に行くという日の朝、前日から憂鬱に感じていた私は、起き抜けにこのCDをかけてみた。何曲目まで聞いたのかは覚えていないが、すでに全曲のメロディと順番を覚えているほど聞き込んでいたので、そのまま集合場所の東中野まで歩く間、ずっと頭の中で再生していたのを覚えている。頭の中でも、ちゃんとアルバム収録の曲順で再生していた。そして、東中野に着く頃には、すっかりモヤモヤは吹き飛ばされ、晴れ晴れとしたアフリカの空のような気持ちになっていた。
病は気からというが、ここ2週間も、気管支炎や併発した不調によって寝込んでいたら、病のせいで気が落ち込んでいくのを感じた。
そんな時はと、プレーヤーの上に置いてある「グレイスランド」に布団の中から手を伸ばし、再生を押した。
「あ〜、これこれ」
一曲も飛ばさず、全曲聞き終わる頃には、呼吸も楽になった気がした。
私の知る限り、自分はアフリカには何の縁もゆかりもないのだが、そしてサイモン・アンド・ガーファンクルはそんなに好きでもないのだが、このアルバムは人生のいつ再生しても、私の中の隠れマサイの血をザワザワと目覚めさせてくれる。元気になる。
これから先も、何度も私の調子を整えてくれるだろう。
それにしても...このコンサート、この場にいたかった!!!
Paul SImon
"Diamonds On The Soles Of Her Shoes"
Paul Simon
"Graceland"
2 件のコメント:
サイモン&ガーファンクルと言えば、僕らの年代だと「コンドルは飛んで行く」を思い浮かべるけど、1980年代後半には、ポール・サイモンの興味は南米からアフリカに移っていたんだね。
これを読んで、僕のベストアルバムはなにかなと考えてみた。
いくつかのバンドが思い浮かんだけど、やはりトーキングヘッズの「ストップメイキングセンス」が僕のベストアルバムだという結論に至った。
やっぱり、このアルバムを聴くと、いつも一気にテンションが上がる。
音楽の力ってすごいよね。
Ke1Tanakaさま
コメント有難うございます。
トーキングヘッズの「ストップメイキングセンス」がTanakaさんのベストアルバムというのは、もの凄くしっくり来ます。その人のベストアルバムは何かを聞いたら、大体のパーソナリティがわかるんじゃないかと思う程、Tanakaさんは「ストップメイキングセンス」(私も大好きです)らしく、別の友人もメタリカの「ジャスティス」そのものの雰囲気を持っているのが面白いです。
ちなみに、私のセカンド・ベストは、僅差でWHAM!の"MAKE IT BIG"ですw
(そう、「ウキウキ・ウェイクミー・アップ」の入っているアレです)
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